たぶん個人的な詩情

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【映画感想】『パニック・マーケット』――サメ×スーパーマーケット=サメ映画らしからぬ面白さ!

“スーパーマーケットで繰り広げられるサメとの死闘”。この言葉を聞いて興味を引かれた者は幸いである。『パニック・マーケット』はその人たちのものである。

若手イケメン俳優ゼイヴィア・サミュエル主演!大洪水に飲み込まれた一軒のスーパーマーケットに閉じ込められた13人の生存者たち。そこには巨大な人喰いザメが一緒に流れ付いていた!地獄のスーパーマーケットからの脱出を求め、彼らの生命を賭けた挑戦が始まる!(Amazonより引用)

見終わってから知りましたが、本作『パニック・マーケット』はサメ映画界隈では中々に評価の高い作品のようです。そんなこととは露知らず、アサイラム産サメ映画を見るノリで見てしまったわけですが、結果としてそのサメ映画らしからぬ面白さに驚かされることとなりました。

一見すると“スーパーにサメ”と言うコンセプトありきの作品だと思ってしまうわけですが、そんな予想に反し、本作からは「真っ当なパニック映画を撮ろう」と言う熱意が感じ取れます。誤解を恐れずに書けば、本作は「サメ映画」に逃げていないんですよね。サメ映画としてではなく、普通に映画として面白い。

脚本の都合で馬鹿な真似をしでかす輩はいないし、水に沈んだスーパーマーケットのセットにも力が入っている。何より、サメが生態面においても映像面においても最低限のリアリティを保っているのは、本作のシリアスなテイストからして正解だったと思います。飛んだり跳ねたりしない、食欲が旺盛なだけのホオジロザメと言うのは逆に新鮮でした。

他方、それでいてB級らしい画、悪趣味な画がしっかりと描かれているのも本作の魅力の一つでしょう。サメ映画らしいゴア表現やグロテスクな死体はもちろん、沈んでしまった陳列棚の間を漂う死体など、水没したスーパーならではの画からは遊び心を感じました。特に、津波が起きた際に換気扇のファンが吹っ飛び、女性の顔に突き刺さるカットは、その趣味の悪さに思わず笑ってしまったほどです。また水中から引き上げようとした人の腕が体から引き離され、水面に流れていくカットは素晴らしいの一言。

B級らしい馬鹿馬鹿しさもありつつ、最後まで緊張感を維持した手腕は流石ですし、しっかりとアクション的な盛り上がりで締めてくれたのもエンタメ映画として良かったと思います。

物申したい点がないわけでもないですが、パニック映画の佳作として十分楽しめる『パニック・マーケット』、この手の映画が好きなら是非見て欲しいお勧めの作品です。

最後に、作中大波を前にして不敵に微笑み駆け出したサーファーのご冥福を祈りつつ、今回はこの辺で。

パニック・マーケット3D Blu-ray

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▶Bait (2012) / オーストラリア・シンガポール
▶監督:キンブル・レンドール
▶脚本:ラッセル・マルケイ、ジョン・キム
▶制作:ゲイリー・ハミルトン
▶音楽:ロバート・マッケンジー
▶キャスト:
ジョシュ:ゼイヴィア・サミュエル
ティナ:シャーニ・ヴィンソン
ドイル:ジュリアン・マクマホン
ジェイミー:フィービー・トンキン
トッド:マーティン・サックス